合同会社のつくり方【ステップ③】定款をつくる

合同会社のつくり方

まずは要点をざっくりつかもう!合同会社のつくり方5ステップ

合同会社のつくり方ステップ③ 定款をつくる!

合同会社をつくるため、基本的なコトを決め、必要なモノをそろえました。

【ステップ①】基本的なことを決める!はこちら

【ステップ②】必要なモノをそろえる!はこちら

つぎはいよいよ定款づくりです。

定款って、なんかむずかしそう…

全然むずかしくないよ!テンプレに当てはめるだけだからね!

定款にかならず書かないといけないコト・・・絶対的記載事項

定款には、かならず書かないといけないことと、それ以外があります。

かならず書かないといけないこと・・・絶対的記載事項

それ以外・・・相対的記載事項任意的記載事項

この絶対的記載事項が定款に書かれていないと、その定款は受け付けてもらえません

ただし、それ以外の相対的記載事項と任意的記載事項も、書かなくてよいというわけではないので、最低限必要なことを後半に解説します。

絶対的記載事項は、

  1. 目的(事業の目的)
  2. 会社名(商号)
  3. 本店の所在地
  4. 社員の氏名または名称および住所
  5. 社員全員が有限責任社員である旨
  6. 社員の出資の目的およびその価額または評価の標準

この6つです。

なんかよくわからない言葉が出てきても、とりあえず気にしないで大丈夫です。

まずは絶対的記載事項について、ひとつひとつ解説します。

目的(事業の目的)

目的は【ステップ①】のところで決めた「事業の目的」です。

例えばこんなぐあいに書いてください。

<記載例>
(目的)
第○条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
(1) 喫茶店の経営
(2) 喫茶店の経営に関するコンサルティング
(3) 前各号に附帯関連する一切の事業

最後の「前各号の附帯関連する一切の事業」で目的の範囲を広げられるよ!

会社名(商号)

会社名(商号)も【ステップ①】のところで決めましたね。

例えばこんなぐあいに書いてください。

<記載例>
(商号)
第○条 当会社は、ピスタチオ合同会社と称する。

これに続けて「英文では○○,LLCと表示する」とカッコつけて書くこともありますが、海外展開を予定していなければ必要ありません。

本店の所在地

本店の所在地も【ステップ①】のところで決めました。

改めて書きますが、最初は自宅をオフィスにするのがいいと思います。

自宅兼オフィスってセキュリティーはどうなの?

という人がいますが、そもそも警備が必要なくらい在庫をかかえたり、身の危険を感じるようなあぶないビジネスはおすすめしません。

在庫をかかえない安全なスモールビジネスをはじめよう!

本店の所在地はこんなぐあいに書いてください。

<記載例>
(本店所在地)
第○条 当会社は、本店を東京都港区に置く。

ここでの注意点は、かならず「最小行政区画」までの表示にしておくこと。

それよりこまかく「○丁目△番地」と書いてしまうと、いざ引越したときに定款変更が必要になってしまいますからね。

社員の氏名または名称および住所、社員全員が有限責任社員である旨、社員の出資の目的およびその価額または評価の標準

残りの項目については、まとめてこんなぐあいに書いてください。

<記載例>
(社員の氏名、住所、出資及び責任)
第○条 当会社の社員の氏名及び住所、出資の価額並びに責任は次の通りである。
    東京都港区南青山○丁目△丁目□号
    有限責任社員 淡麗 辛口
    金300万円

ここで「有限責任社員」という言葉が出てきましたが、ちょっとだけ解説します。

合同会社の場合、社員となった出資者は、その出資金額までしか責任を負いません

そのことを「有限責任」と言うので、有限責任社員なわけです。

つまり、ここの記載例であれば、ピスタチオ合同会社が100億円の負債をかかえて倒産しても、淡麗辛口くんは出資した300万円が返ってこないだけで済むということになります。

リスクが小さいからチャレンジしやすいということだね!

ここまでが絶対的記載事項です。カンタンだったですね!

それ以外に最低限書いておきたいこと・・・相対的記載事項&任意的記載事項

先に解説した絶対的記載事項が書いてあれば、とりあえず定款は有効です。

ただし、不測の事態を考えて、最低限書いておきたいことを記します。

相対的記載事項

相対的記載事項とは、会社法の原則規定とは違うように定めることができる事項です。

ここで最低限書いておきたいことは、社員が死亡してしまったとき、合同会社はどうなるか?ということです。

原則規定では、社員1名の合同会社で社員が死亡した場合、その合同会社は解散です。

ただ、それでは取引先等に大いに迷惑が掛かってしまいます。

なので、「ひとり合同会社」では、次のように定款に書いておきましょう。

<記載例>
(相続による持ち分の承継)
第○条 当会社の社員が死亡した場合においては、当該社員の相続人その他の一般承継人は、当該社員の持ち分を承継することとする。

これでひとまず、不測の事態で合同会社が解散になってしまうことは免れます。

任意的記載事項

任意的記載事項は、文字通り任意なので、好きなこと書いていいです。

ただし、法律に違反しない範囲です。当たりまえですが。

一般的には、「公告の方法」とか、「業務執行社員」や「代表社員」は誰かとか、「事業年度」はいつからいつまでかなどを書きます。

まあ、任意なんで書かなくてもいいんですが、ほとんどの合同会社は書いていますね。

<記載例>
(公告の方法)
第○条 当会社の公告方法は、官報に記載する方法により行う。

(業務執行社員)
第○条 当会社の業務は、業務執行社員が執行する。
 2  業務執行社員は、淡麗 辛口とする。

(代表社員)
第○条 当会社の代表社員は、淡麗 辛口とする。

(事業年度)
第○条 当会社の事業年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までの年1期とする。

任意とはいえ、書いておいたほうが定款らしくなるよ!

合同会社の定款まとめ

最後にまとめとして、ひとり合同会社の場合の定款記載例を書いておきます。

これをそのままテンプレとして使っても大丈夫ですが、ご自身がつくる合同会社の状況に応じて、相対的記載事項などを増やしてアレンジしてください。

定   款

第1章 総則

(商号)
第1条 当会社は、ピスタチオ合同会社と称する。

(目的)
第2条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
(1) 喫茶店の経営
(2) 喫茶店の経営に関するコンサルティング
(3) 前各号に附帯関連する一切の事業

(本店所在地)
第3条 当会社は、本店を東京都港区に置く。

(公告の方法)
第4条 当会社の公告方法は、官報に記載する方法により行う。

第2章 社員及び出資

(社員の氏名、住所、出資及び責任)
第5条 当会社の社員の氏名及び住所、出資の価額並びに責任は次の通りである。
    東京都港区南青山○丁目△丁目□号
    有限責任社員 淡麗 辛口
    金300万円

(相続による持ち分の承継)
第6条 当会社の社員が死亡した場合においては、当該社員の相続人その他の一般承継人は、当該社員の持ち分を承継することとする。

第3章 業務の執行及び会社の代表

(業務執行社員)
第7条 当会社の業務は、業務執行社員が執行する。
 2  業務執行社員は、淡麗 辛口とする。

(代表社員)
第8条 当会社の代表社員は、淡麗 辛口とする。

第4章 計算

(事業年度)
第9条 当会社の事業年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までの年1期とする。

章 附則

(最初の事業年度)
第10条 当会社の最初の事業年度は、会社の成立の日から令和×年3月31日までとする。

(定款に定めのない事項)
第11条 この定款に定めのない事項は、すべて会社法その他の法令に従う。

以上、ピスタチオ合同会社の設立のため、電磁的記録である本定款を作成し、電子署名する

令和×年×月×日

有限責任社員  淡麗 辛口 

「電磁的記録」とか「電子署名」については、【ステップ④】で解説するよ!

「合同会社のつくり方ステップ④申請書類をつくる!」に続きます。

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